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2016年1月18日 (月)

4.『山をなめてた当時の僕』

フジロック前日の7月25日夜。僕達は天神山スキー場までの道が混むことを想定し、ライブ前日深夜に東京を出発することにした。待ち合わせ場所である杉内の家に着いた僕を見るなり、親父さんが言った。

「お前その格好で行くの?」

7月とはいえ既に東京は暑く、僕は半袖のTシャツ、ハーフパンツ、ビーサン、荷物は特に無くて財布だけという格好。しかし親父さんが呆れている理由が全く分からなかった。さらにこの時の僕は小さい頃からかけていた眼鏡を止め直前にコンタクトレンズを導入していたのだが、それが全く目に合わないという問題を抱えていた。常に目がゴロゴロするので杉内家の洗面所で目を洗っていると、何とコンタクトレンズを排水溝に流してしまった。幸い優しい親父さんがすぐに洗面台のパイプを外して見付けてくれたのだが、今考えるとこの時点で既に当時の僕の駄目さが大爆発している。

普段と変わらぬ軽装に、普段と違う身体状態。こういう舐め切った態度が後々悲劇を生むことになる。さらに、確かにこの時点でニュースは台風の接近を告げていたように思うのだが、何故か、本当に今の僕からしてみたら何故か、それすら僕は気に留める事もなかったのだ。

夜11時頃、親父さんのハイエースで出発。中学生の時に釣りやキャンプに連れて行ってもらった僕にも馴染みのある車だ。メンバーは僕、杉内、杉内の親父さん、杉内の弟。そしてもう一台の車で杉内のお姉さんとその友達が一人。彼女達もフジロックフェスティバルに参加するのだ。

車二台、計六人のパーティーは想定していたような渋滞にも捕まらず順調に関越自動車道を飛ばす。車内で杉内と「どのバンドを見るか?」という話題で盛り上がっていると、時間はあっという間に過ぎていく。

当日朝4時頃、目的地に無事到着。しかしこの駐車場は会場である天神山スキー場からはまだだいぶ遠い。実はライブ会場にも駐車場はあるのだがそこは駐車台数に限りがある為、事前に申し込みをした人しか車を止められない。実際、杉内のお姉さん達は申し込みをしていたので会場まで直接車で入れる。しかしそれ以外の人(つまり殆どの人)は、狭い山道を30分ほど送迎バスに乗って会場入りするのだ。ここはその発着所の近くなのである。

ライブ自体は朝11時頃から始まるので、10時にはバス発着場にいれば良いだろう。今はまだ4時。それまで、我々は親父さんの車の中で一眠りする事にした。期待で興奮が収まらない精神状態を必死に抑え、僕は目をつぶった。

朝 9時頃。目を覚ました我々は、今後の計画をもう一度話し合った。

① 送迎バスで会場入りする僕と杉内
② 直接自家用車で会場入りする杉内姉とその友達
③ キャンプ場に行く杉内親父さんと杉内弟

ここからはこの三組で別行動になる。

「夜9時頃ライブが終わって、また送迎バスでここまで戻ってくるんだよな?まあ、10時頃にはここに迎えにくるよ!」

そう言って車で去っていく親父さん達、車で会場入りする杉内姉達を見送り、僕と杉内は逸る気持ちを抑えられず、予定より早めにバスの発着場に向かった。しかし到着してみて驚いた。

「何だ、この行列は!」

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