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2016年3月 8日 (火)

11.『ザ・イエロー・モンキー(1)』

レイジの演奏が終わる頃には、空はだいぶ暗くなっていた。残るはあと二バンド。次はイエローモンキーの出番だ。

ギターに憑りつかれていた中学生の僕にとって、エアロスミスなどハードロックバンドの華やかさは憧れの的。しかし一方で、テレビの歌番組が大好きで、日本の歌謡曲が持つ抒情性も大好き。その両方の要素を併せ持つイエモンは「こんなバンドを待っていた!」と言うくらい、当時の僕にはど真ん中ストライクのバンドだった。

ところで話は若干逸れるが、ここまで読んである疑問をお持ちになった方もいるかもしれない。

「お前はセカンドステージには行かなかったのか?」

この第一回フジロックフェスティバルにはメインステージとセカンドステージ、二つのステージが用意されていた事は既に書いた。メインステージはステージも客席も大きく、出演者もどちらかというとメジャーで活躍しているバンドが多い。一方のセカンドステージはステージも客席も小規模だが、通好みで個性的な出演者が多く出演する。実際に行った方は分かると思うが、僕が今までライブレポートを書いてきたのはいずれもメインステージの出演バンドだ。

レイジが終了した時点までを振り返ってみても、セカンドステージではボアダムズやアタリ・ティーンエイジ・ライオットなど見てみたかったバンドが多く出ていた。会場に着く前までは絶対に見たいバンド以外は、「メインステージとセカンドステージの選択は、その場のノリで決めよう!」などと考えていた。

たとえば次のイエローモンキーの時間、セカンドステージでは電気グルーヴのライブが行われていた。イエモンは大好きだったが、もし天気が良かったら電気グルーヴとどちらを選ぶか相当悩んだろう。何しろ僕はイエモンを好きになる以前、小学生の時から電気グルーヴのラジオ番組を毎週欠かさず聞いていたのだ。彼らのライブだって物凄く見たかった。

こういう「見たいバンドの出演時間が被ってて、決められない!」という嬉しい悲鳴こそ、本来野外フェスの醍醐味となる筈だろう。しかし初年度のフジロックの観客は暴風雨に晒され続けて体力を著しく消耗している状態。両ステージの僅か20分ほどの距離が果てしなく遠く感じられ、逡巡の果てではなく惰性でどちらかのステージに留まっている観客が殆どだったように思う。

僕達もそのような事情で、最初に選んだメインステージエリアから移動する事が不可能になってしまっていた、という訳なのだ。

それにしてもイエモンのセッティング時間が長い。彼らのセッティングが遅れているというより、ずっと雨風に晒され続けた機材にトラブルが起きているのかもしれない。レイジのライブを見終わった人達も、イエモンの次、トリのレッチリを少しでも良いポジションで見ようとステージ付近から動かない。つまり多くの人がイエモンではなく、レッチリを見る為にステージ前にいるような状況になってしまっている。そこら中で「さっさとセッティング終わらせろよ」などと、ステージに向かって野次を飛ばす奴が出始めた。行きのバスの車内が頭をよぎる。朝から頑張っていた最前列の女の子達は大丈夫だろうか?

そんな悪い空気の中、ようやく彼らが出てきた。初めに書いておくが、今から冷静に振り返ってみても洋楽勢に比べて彼らの演奏は全くひけを取っていなかったし、曲も素晴らしかった。しかし結果的に言えば、あの日のイエモンのライブは初年度のフジロックを振り返る時、台風と同じくらい辛い思い出として蘇ってくるのだ。

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